《News》
今年4月に開催した写真展に合わせて限定制作した
ZINE『タウシュベツ拾遺』は、発売から半年ほどで
700冊が売り切れ間近となりました。
完全限定制作なので品切れ次第、販売終了いたします。
10月に入り、気温がぐっと冷え込む朝が増えた。
氷点近くまで気温が下がると霜が降り、糠平湖の
水面からはけあらしが盛大に立ち昇る。
朝日を浴びるタウシュベツ川橋梁を包みこむほどのけあらし。
穏やかな天候が続いた9月とは違い、
強まる寒気の影響か風の強く吹く朝が多くなった。
風に吹き寄せられ、湖岸には流木や
色づき始めた木々の葉も流れつく。
標高2,000m近い山ではそろそろ初雪。
湖面に映り込む空の色も
もう冬の冷たさをたたえていた。
夜明け近くになると、オリオン座はもう
南天高くにあった。冬が深まるのをひと際強く
感じさせられる星空だ。
この日、三国峠でシーズン初雪が降った。
湿った雪があっという間に景色を白く変えていく。
けれどもまだ根雪にはならず、次の日にはすっかり
雪は解けて無くなった。
風と雪とで散ってしまった紅葉が多い中、
森の中には彩りを残した木々も見られた。
日が昇る前の東の空に明るい星が点々と並ぶ。
金星をはじめとする惑星がこうして連なるのは
数十年に一度のことだという。
糠平湖畔の紅葉は例年通り、
10月上旬から中旬にかけて
見頃を迎えたようだった。
角がそろいつつある雄ジカが森を歩く。
冬を迎える前のこの時期、林道だけでなく
国道脇でも多くのシカを見かけるようになる。
この朝、糠平でもシーズン初雪となった。
うっすらと雪が積もるだけで、
季節が秋から初冬へと進んだように感じられた。
季節の境界を告げる変わりやすい天候は
橋の上に大きな虹を架けた。