冬から春へと移り変わる北海道の4月。タウシュベツ川橋梁周辺の風景も一カ月で大きく変化する。
月の初旬にはまだ湖底は厚さ20cmほどの氷に覆われていた。
本州では桜が咲き、散り始めたという頃でも雪が降るのは珍しくない。
それでも降った雪が積もることなく解けていくのが冬の終わり。
雪解け水を流す川のせせらぎが少しずつ大きく聞こえ始める。
この冬はまとまった雪が積もるのが早かったので、山にエサが少ないようだった。
道路脇で木の皮をかじるエゾシカを見かける機会が例年になく多い。
暖かくなると真っ先に顔を出すフキノトウ。名残りの雪の下に。
芝の生えそろう前のパークゴルフ場で体を休めるエゾシカの群れ。
冬を温泉街の近くで過ごし、すっかり慣れてしまった。
家のドアの外も彼らの食餌処だ。
4月中旬になると、糠平湖はだいぶ氷が緩んできた様子が見てとれた。
たまにちらつく雪も、降っては溶ける春の雪だ。
大きく蛇行しながら流れる音更川が湖底に現れてきた。
日射しが強くなるこの時期、日向は春、日陰は冬という光景も見られる。
冬の風物詩・キノコ氷はもうすっかりなくなり、切株だけが立ち並ぶ。
例年より一週間から10日ほど早く水芭蕉が開いた。
このまま春を迎えるのかと思いきや、この後気温は低い傾向が続くことになる。
早春の芽吹きを待つ野生動物には少し厳しい時期だ。
冬を越せなかったものが、春を待つものの命をつなぐ場面があちこちにある。
4月下旬にしては珍しく雪も氷もないタウシュベツ川橋梁。
けれども自然はどこかで帳尻が合うようで・・・。
翌日は一面の雪景色となった。
ゴールデンウィーク初日の風景。
これほど北海道らしさを目の当たりにすることは珍しい。
5月にはどのような景色へと変わっていくのか。今年もなかなか予想がつかない。