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ブレイク前夜?

5月28日の早朝、まだ6時という時間に、いつものタウシュベツ川橋梁には見慣れない光景が広がっていた。

地元ひがし大雪自然ガイドセンター主催の早朝ツアーと、
同じく地元ぬかびら源泉郷のホテルが催行する宿泊者向けツアーの参加者で
タウシュベツ川橋梁を取り巻くように数十人の観光客の姿。

周囲34km、東京の山手線と同じ長さの外周を持つ糠平湖の片隅。
携帯電話もつながらない僻地の、それも平日早朝の風景だ。

この日かぎりの、何かイレギュラーな出来事かと思っていたが…

5月30日の同じく早朝。

久しぶりに降った雨のおかげで澄み渡った5月の空の下にも、多くの人たち。

 

そして翌5月31日も。

この橋の写真を撮り始めてから、もうすぐ丸14年が経つ。
2005年当時、ほとんど訪れる人のいない橋を見ながら、「なぜこれほど人が来ないのか」と不思議に思っていた。
北海道内はもとより、日本屈指の観光スポットになっていてもおかしくない場所が、いつも無人だった。
これほどのスポットを抱える糠平の温泉街は集客に苦労していた。

撮り始めてしばらく経ち、僕が立てた仮説は単純なものだ。なぜタウシュベツ川橋梁に人は来ないのか。

〇知られていないから

多くの人に存在を知られるようになれば、ここを訪れたいと考える人は自然と増えるだろう。
理由は簡単で、この橋が比類ないものだから。オンリーワンを見てみたいという欲求は観光の枠だけにとどまるものでもない。

そして、僕はもう一つ仮説を立てていた。

〇有名になる頃には、この橋は崩落しているだろう

だからこれまで撮り続けてきたとも言える。
ここ数日で、14年前に立てた一つの仮説が、あながち間違っていなかったことを確信できた。

二つ目の仮説は、どうやら間違えていたようだ。