写真/文:岩崎量示
タウシュベツ川橋梁には年に2度、オフシーズンが訪れます。
一度目は雪解けが進む晩冬から春にかけて、そして二度目が晩秋から冬にかけての、まさに今の時期です。橋へとつづく林道が通行止めとなり、橋自体も水に沈んでしまうので、もう観光にやって来る人の姿を見ることもほとんどなくなります。
崩落していく橋の姿を撮りつづけて記録する。
20年近くそんなことをしていると、一年のスケジュールもすっかりタウシュベツ川橋梁のサイクルに合わせたものになってきます。最近でこそ、橋が完全に崩れるまでさらに長い時間がかかりそうなことを見越して週に2,3回と頻度を落としていますが、数年前までは、橋に通える時期には2日と空けずに足を運んでいたものでした。
橋が水没するのが待ち遠しい。
橋への思い入れとは別に、秋が近づく頃には毎年そんな気分になるものです。
今年もようやく半年に一度のオフシーズン。久しぶりに北海道を離れて出かけた東京には、コンパクトカメラを一台身につけていったものの、結局ほとんど取り出すことなく帰ってきました。
写真を撮りはじめたのは、もともとタウシュベツ川橋梁を記録するため。三つ子の魂と言いますが、この橋と同様に撮りたくなるような被写体に出会うことはあるのでしょうか。
あってもなくても、どちらにしても幸せなことかもしれません。