写真・文:岩崎量示
<例外的に湖上立ち入り期間が短かった昨シーズンの糠平湖。もしかすると今シーズンも…というお話しです>
例年、凍った湖の中から姿を見せはじめるタウシュベツ川橋梁には、1月から3月上旬にかけて多くの人たちが足を運びます。
冬にタウシュベツ川橋梁を訪れる方法は湖上横断がメインです。結氷した糠平湖を片道2キロほど歩いていきます。
そのため、湖に厚さ10センチほど氷が張り、人が乗れるようになってからシーズンスタートとなります。
ここ数年では、氷の厚さが十分になるのは1月上旬から中旬ころが目安でしょうか。
糠平湖は水力発電用のダム湖です。冬のあいだ、発電に応じて1日20~30センチの早さで水位が下がっていきます。
湖底から沸いているメタンガスによってできる「ガス穴」が目立つようになり、湖底を流れている音更川に沿って氷が割れ始めると、湖上は立ち入り禁止に。例年は2月中旬から3月上旬ころです。
こうして、冬のタウシュベツ川橋梁に行けるのは1月上旬から3月上旬ころまで、というのが長くお決まりのようになっていました。
ところが、昨シーズン(2023‐24)は様子が違いました。
糠平湖の水位が記録的に低く、タウシュベツ川橋梁は水没しないまま冬を迎えます。
ガス穴も例年以上に多く発生し、結果として、1月末で湖上への立ち入りが禁止となりました。
タウシュベツ川橋梁を見られるかどうか、橋まで行けるかどうかが糠平湖の水位変化に左右されるので、その推移はいつも気にかかります。これまでのところ今年の水位は昨年ほど低くはなく、2年ぶりにタウシュベツ川橋梁が水没して冬を迎えるのではないかと予想していました。
先週までは。
今月半ばまでに橋全体をほぼ水没させるところまで上がった水位が、ここにきて下がり始めています。
グラフが示すとおり(※)、現時点での水位は昨年同時期よりも高いものの、昨年12月上旬の最高水位と同程度です。
今後どのように水位が変化していくのか、まだまだ未確定要素が多い状況ですが、もしかすると昨シーズン同様に短期間のうちに湖上立ち入りができなくなる可能性もありそうです。
※ちなみに、水位が505メートルを超えるとタウシュベツ川橋梁が沈みはじめ、516メートルで全高11メートルの橋が完全に水没します。